トラストレスなダークプール Republic ProtocolのICOが約32億円相当調達

Republic ProtocolはPolychain Capitalをリードインベスターとしたラウンドを行い、FBG、Huobi Capital、Hyperchain Capital、Signal Venturesからの資金35,000ETH(現行価格で約3050万ドル)を調達し、RENトークンのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を正式に完了しました。今回のスキームはトークン以外の部分は、従来型の資金調達と変わりません。

Polychainと他の大口投資家は合計10億RENのトークンの60.2%を取得しました。チーム、アドバイザー、早期パートナーのために約15%と、コミュニティを構築するために別の5%はクラウドセールの対象外とされています。 Republic Protocolは、初期の流動性を確保するための「準備金」として19.9%を保有し続けます。

Republic Protocolは暗号通貨における金融取引の「ダークプール」を提供する予定です。ダークプールについて野村證券の用語解説集によるとこの通りです。

証券会社が提供するサービスで、証券会社内のシステムで投資家の売買注文を付け合わせて取引を行う方法。取引参加者が匿名で価格や注文量などの取引内容が外部から見えにくいことからダークプールと呼ばれる。匿名性の高い取引が可能。注文情報の匿名性が確保されていること等に加え、約定率や約定単価の改善が期待できるため、近年では市場が拡大している。

取引所が抱える最大の課題の1つは、暗号通貨で大量の取引をしようとしているとき価格の著しい高下を起こしてしまうことです。とても大量のビットコインやETHを動かすと、売り注文は取引所やブローカーに大きな影響を与え、他のトレーダーにも売り込みを促してしまいます。

ダークプールはボラティリティ縮小に貢献するだけでなく、「クジラ」の取引が以前の取引よりも大幅に少なくなることを意味します。これは、もちろん、特に投資家にとって必ずしも喜ばしくありません。ボラティリティは収益を増やす機会を賢い投資家に提供するためです。だから、主要な暗号投資家が解決策を見いだすことを熱望するのは不思議なことかもしれません。

Republicプラットフォームはトレーダーがダークプールで執行したい取引について非常に詳細なパラメーターを送ることを可能にします。ダークプールは取引を分割し、それらのパラメータに合った最良の取引を見つけるか、条件が満たされない場合は引き戻すかのいずれかを実行します。

たとえば、BTC0.095から0.125の間で1,000 ETHを売りたいという人もいます。この場合、24時間以内に少なくとも80%のポジションでパートナーが見つかった場合、売却を終了する可能性があります。

秘密分散法で仲介者を排除

このプロセスでは、暗号化アルゴリズム「シャミアの秘密分散法」を使用して秘匿化し、注文を分割しRepublicプラットフォーム上のノードに共有します。秘密分散法とは、参加者から成るグループに秘密 (secret) を配布する一つの方法であり、参加者はそれぞれ秘密の分散情報(share)を割り当てられます。この秘密は分散情報が組み合わせられたときにのみ再構成でき、個々の分散情報だけでは役に立ちません。アディ・シャミア(Adi Shamir)が1979年に考案した方法はセキュアであると証明されています。

複数のコンピュータにデータの断片を送り、断片の部分計算を繰り返し行うことで、データを秘匿したまま統計などの各種計算を行う「マルチパーティコンピューテーション」で最良の取引相手を見つけます。個々の最終的な取引の詳細は出ますが、いずれの当事者の合計オファーも明らかにならないので、全体を推測することは困難です。

トラストレスなダークプール

証券業界で行われるダークプール取引では、基本的には証券会社という第三者がダークプールの「暗さ」を担保していますが、実際には証券会社自体はダークプールの中身を知っているのです。シャミアの秘密分散法を利用する点は「神の目」を持つことになる第三者なしに、ダークプールを成り立たせることであり、「情報の非対称性はなく、誰もが同じ情報を得ている」という状況を作り出すことです。価格交渉やOTC(店頭店)ブローカーに頼らずして「トラストレス」にダークプールを実行できるのです。

Preference

Republic Protocol: An Introduction

ssss: シャミアの秘密分散法 (ssss: Shamir’s Secret Sharing Scheme)

NTT研究所”Secure Multiparty Computation”

REPUBLIC PROTOCOL