深層学習の新しい波CapsNet:今週のAxionサマリ

サマリ

今週のニュースではないのだが、10月の論文発表から会話が続けられている「Capsules Networks (CapsNet)」が大きな話題だ。近年の音声認識、画像認識分野での機械学習の発展には、CNNs (畳み込みニューラルネットワーク) が大きな役割を果たしてきた。

人工知能の研究者であるとともに認知神経科学の研究者でもあるGeoffrey Hintonは、人間の頭脳のアナロジーから、CNNの課題を指摘し、CapsNetとダイナミックルーティングを提案している。まだHingtonらはCapsNetをどの領域に応用すればいいのかまでは達していないが、CapsNetがCNNのように近年爆発的に研究が進んできた技術を凌駕するには、より細やかな洞察が必要だと指摘している。

シンプルなCapsule構造が下記の重なり合う数字の認識で高い精度を実証したので、CapsNetは今後、研究が進められるべき領域であるとみなされている。

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もしかしたら、人工知能の新しい波が生まれようとしているかもしれない。

1. 新しいニューラルネットワーク「CapsNet」

深層学習の権威であるGeoffrey Hintonのチームは先月、カプセルに基づいたまったく新しい種類のニューラルネットワーク「Capsules Networks (CapsNet)」を導入した2つの論文を発表した。チームは、CapsNetを訓練することを可能にする、「カプセル間のダイナミックルーティング(Dynamic Routing Between Capsules)」と呼ばれるアルゴリズムを発表した。

Hintonはディープラーニングの創始者であり、今日広く使われている多数のモデルとアルゴリズムの発明者。Hintonは画像認識などの素晴らしい成果を出しているCNNs (畳み込みニューラルネットワーク) を発明したが、その課題を指摘しており、解決手段のひとつとしてCapsNetを提案している。

今後の改善次第で、CapsNetがCNNsが達成していることをより高いパフォーマンスで再現するか、またCNNが実現できないことを実現できるかなどが明らかになってくるはずだ。

2. 共産主義国では研究できない

米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授・中村修二氏が日本の科学研究の状況に関して厳しい批判を展開。指摘されている部分は、日本的な課題のミニチュアな様相。抜粋する。

日本は選ばれないだろう。最近、給料を増すからと東大に引き抜かれた同僚が1年で帰ってきた。『あんな共産主義国では研究できない』と漏らしていた。京大に准教授としてスカウトされて帰ってきた研究者は、『同じ研究室にもかかわらず教授との面会にアポが必要。直接連絡がつかない』と嘆いていた。日本の研究室は上意下達が過ぎる。米国は学生と教授が対等だ。もし研究で不正を強いれば、裁判になり、自分の首が飛ぶ

日本は職位や性別、年齢、健康で差別がある。企業も採用試験で研究内容や専門性ではなく、部活動や趣味など、課外活動について尋ねる。研究者や技術者の人事選考で研究以外の経験で人物を選ぶ国だ。研究者や科学技術を尊重する社会ではない

多大な貢献をした技術者を罰してしまうお国柄をどう修正していくか。

3. 楽天の広告会社化はどこまでいくか

競合のAmazonが日本で広告事業を伸ばしているのが背景にありそうだ。GMV(流通総額)でAmazonは楽天を抜いており、流通網の改善やAmazon Echoなどのデバイスの投入、マーチャントへのディスカウントなど攻勢がすさまじい。日本は国土がコンパクトでコールドチェーンが発達しているので、生鮮食品スーパーの買収などもうってつけの可能性がある。

そのなかで、広告を当てて、自分のマーケットプレイスで買ってもらうことの重要さはおおきい。ネット広告やテレビCMと、ECや店頭での購買をすべてIDでつなげて広告効果を把握・分析しようという試み。

楽天の試みは米国では数十歩先にすでに実践されている。その一つの例として、Facebookがオラクル傘下のDataLogixやニールセンと組んでこの試みの先端を進んでいることはなんども取り上げている。私もたくさん記事を書いて、業界でのこういう試みの実践に一定の貢献をしてきたので、ぜひ参照してほしい。

4. Amazonとアリババのオフライン小売進出

Amazon Goの本格展開やアリババの大手スーパーマーケットの買収など、リアル小売への進出が著しい。Amazonやアリババは情報優位を楽しんでいる。インターネットで獲得している膨大なデータが、リアル店舗の小売に対して、強烈な情報の優位性を示すことになる。人々がその都度何に興味を示し、どんな欲求を抱えているのか、何を値引きして、何を値上げしてもらいたがっているかをAmazonやアリババは把握できる。

そして両者のキャッシュフローはとても素晴らしい。

5. 都市内の垂直森林

国連は2050年までに世界の人口の3分の2が都市に住むと予測しています。人々が都市部で劇的な増加がみられる。人間の活動は環境に対し悪影響をもっており、資源の消費を集中し、コンパクトにできる都市居住に人々がシフトしていくことには数々の利点が指摘されている。

そんななかで重要なのが、都市内緑地であり「垂直森林」のコンセプトはとてもおもしろい。縦に森林を積み重ねることで、平米あたりの「森林」を著しく増やすことができるのです。